今年の映画興行を振り返って。(夏の3本編)

今年はより邦高洋低があまりに顕著すぎて悲しくなる場面が多かった様に感じる。というかそこまでの洋低は今後の洋画の日本公開に明らかに悪影響を与えていくだろう。現に日本では全くヒットしないアメリカコメディは日本公開しないものがむしろ増えているかの様な印象すら受ける。

そしてシリーズものは想定外に稼げず、新規ものも全く振るわなかった。

まずは6/30、世界最速公開で1000以上ものスクリーンを開けて公開された『アメイジングスパイダーマン』。おそらく配給のSPEJは2日間で10億円超えを狙っていただろうがその目論見は極端な崩れ方をした。これだけ開けて5.8億円。あまりのズッコケだった。理由は多数考えられるとはいえ、日本で唯一ヒットするアメコミと思われていたアメスパの惨敗は夏の洋画興行不振を先取りしていた。最終興収もたったの31.6億円。

7/28公開『ダークナイト ライジング』。ノーラン監督の前作『インセプション』はなんとか35億円を稼いでおり、また『ダークナイト』も公開後にも評判が上がり、ソフトセールスも堅調だった。いくら二週前に海猿が公開されていたところできちんと初週のランキングは一位を取ってくると思われたのだか……3.7億円でまさかの二位。最終でもなんと20億円にすら届かず。

そして『アベンジャーズ』。北米では記録に次ぐ記録を打ち立てまくったこの映画。しかし日本ではアイアンマン、マイティ・ソーインクレディブル・ハルクキャプテン・アメリカのどれもこれまで大ヒットとは言い難いという相当に厳しい土壌だった。そんな中で最終興収36億円は頑張ったとはいっていいのかもしれないが、明らかに足りない。

結論から言うとどれも、最終興収では本来その倍額は稼いでしかるべき作品達が相当な低い水準に留まり、ここでの不振が年間を通しての邦高洋低に拍車をかけたと強く感じる。

とはいえどうすれば洋画が再び息を吹き返すのか、というのは非常に深刻な問題でそう簡単に答えの見つかるものでもない。息を吹き返せば紅しょうが市場など簡単に凌駕できるのだろうが(苦笑)